11月27日(日)、東京・浅草橋のヒユーリックホールにて、「2016年パズル道場全国大会」が開催されました。日本全国から、170 名が参加し、普段はなかなか見られないような息詰まるハイレベルな戦いが繰り広げられました。
そして、今年はQ-bigから初の全国大会出場者を輩出することができました。小学校4年生のS.H.くん(8段・高宮教室所属)がQ-big代表として出場し、全国から集まった強豪の中で、奮闘しました。(今年の全国大会は小学校3年生から中学校3年生が出場しました)
パズル道場全国大会は、単なる競技会ではありません。様々な能力を鍛え、そして、今後どのように取り組めばよいのかを理解し体感させるための開発者山下義徳氏が行う「特別授業」です。会場に入ったら、子どもは自分で資料を読んで、理解し行動しなければなりません。大人は一切手助けできません。5時間におよぶ全国大会を自分一人で作戦を立て、行動していかなければなりません。会場にいる人間は、大人も含め、おしゃべりは一切禁止です。また、厳しいルールもあります。例えば、スーパー4色キューブでは、自分で箱からピースを取り出すのですが、その際、ピースを机から落としたら、その場で失格です。実際、今回1名の失格者がでました。こういった厳格なルールの下、張り詰めた空気感を、子どもと大人、会場全体で作り出します。そういう空気感の中で、子どもたちは「タフな思考力」を身につけます。
最高レベルの思考力を「タフな思考力」と呼んでいます。調子がいい時に考えられるのは当たり前のことで、疲れたとき、イライラしているとき、気持ちが負けそうなとき、ストレスでいっぱいのとき、そういう時にでも考えられる力が大切です。なぜなら、人生でいつも調子がいいとは限らないからです。そういう訳で全国大会では、子どもたちをわざと疲れさせ、わざと緊張させ、できるだけ困難な状況をつくり出し、自分の作戦で考えさせています。
世の中には理不尽なこともたくさんあります。山下氏は特別授業の中では、その理不尽なことにどう対応するかということについて、小学生・中学生に熱く語りかけました。たくさんある理不尽なことに対して{ ①たたかうか ②受け入れるか }を正しく判断する力を身につけること。受け入れるなら、すぐにあきらめて前を向くこと。文句ばかりをいう人は成長しにくいといった内容を子どもたちに伝えました。
パズル道場では、算数のセンスである、「イメージ化能力」と「仮説思考力」の育成を行います。この力をいかなる時でも発揮できるような「タフな思考力と主体性」を育成することが全国大会の最大かつ最終の目標です。
Hくんは、この全国大会に向けて、通常授業とは別に特訓をするために、毎日Q-bigに通いました。大会の種目である、積み木、さいころコロコロ、穴あけ、推理算、フォープレイス、ビルディング、スーパー4色キューブ、立体四目について、時間を計って毎日トレーニングしました。普段の授業では、じっくり考えて問題を解きますが、全国大会はスピード勝負です。じっくり考えていては、「アッ」という間に次の問題に進んだり、勝負に負けたりします。例えば、積み木の問題では6秒以内で答えなければならない問題が出題されます。立体四目では、1分間の試合時間の中で、一手を3秒以内に打たなければなりません。つまり、相手が打った瞬間に、自分の玉を手に取り、置かなければなりません。瞬時に戦況を判断し、適切な手を打っていく力が必要です。
たった1日の全国大会ですが、Hくんはかなり成長しました。精一杯練習してきましたが、それでもハイレベルな全国大会の中では、力が及ばない場面がありました。この大会に出場する意義は、自分の課題を発見し、それを今後にいかしていくことにあります。さいころコロコロや穴あけなど得意分野では手ごたえを感じましたが、課題だったのはスピードです。特に立体四目は相当早く打って、相手にプレッシャーをかけないと、すぐ引き分けになってしまうということを経験しました。
大会後のHくん。もともとおとなしい性格で、どちらかというと自分の気持ちを表すのが苦手なところがあったのですが、「また、来年も全国大会に出て、リベンジする」と宣言しました。全国大会に出場し、ハイレベルな仲間と戦い、高い目標を持つことができました。今日も日々、自分の課題を克服すべく、切磋琢磨しています。